永遠の切札

もう一話か二話あったら違った結末になってたのかな……。
『えっ? ここでおしまい?』と声に出してしまいました。
友として始=ジョーカーと触れ合ってきた剣崎は、どうしてもジョーカーを封印するという選択肢を取ることができませんでした。 それでもダークローチは止まりません。 剣崎も決断を迫られます。 そして、ついに彼が最初から抱えていた切り札を切る……イレギュラーなキングフォームを連続使用し、自らジョーカーとなる……ことでアンデッドが二体存在する状況を作り出し、バトルファイトを再開させたのです。
確かにダークローチは消滅し、世界に平穏が戻りました。 しかし、剣崎は自ら人を捨てるというとんでもない解決法を選んでしまいました。 剣崎は始に『俺は運命と戦う、お前は人間の中で生きろ』と言い残し、姿を消します。 その腰にはジョーカーのベルトが……。
こんなこと言ったらいけないんでしょうけど、橘さんがギラファアンデッドを封印する前に嶋さん(タランチュラアンデッド)あたりをリモートで解放しておけばこんなこと(剣崎ジョーカー化)にはならなかったんじゃないかな、と思ってみたり。 剣崎が去った後で崖の上から剣崎と叫んだり、剣崎の部屋で写真を手に彼の名を呟いている橘さんの姿がとても寂しそうで、本当に物悲しくなりました。 何もかも失っちゃったね、橘さん……。
……上では少々批判的な書き方をしましたが、剣崎にとっても断腸の思いでの決断だったと思います。 橘さんが剣崎たちを信じて命懸けでギラファアンデッドを封印した意味。 人間たちと、愛すべき隣人たちと共に生きたいという、始の心からの願い。 仮面ライダーとしての責任を果たし、剣崎に代わって大切な人たちを守るべくジョーカーに挑んで傷付き倒れた睦月の思い。 全てを投げ打って剣崎たちを支えてくれた虎太郎や広瀬さん。 『ハカランダ』の栗原母子。 etc, etc.... 剣崎だって、もっともっと彼らと一緒に過ごしたいと思ったでしょう。 そんな大切な人たちの生命と自分の存在を天秤に掛けたとき、剣崎ならどちらを選ぶのか……。
そう考えると、やっぱり自己犠牲を重んじる、真っ直ぐで優しい剣崎らしい選択だな……と思います。 彼こそ真の仮面ライダーであったと、そう言えるのではないかな、と。 そう思った瞬間、抵抗無くこの最終回を受け入れている自分に気付いたのでした。
余談ですが、ついに所長の謝罪が出ましたね。 ハートの2以外のカードをアタッシュケースに収める所長の姿や最後にベンチに座っている剣崎の幻(?)を見た始の姿からは『終わり』を、砂地の上を延々と続く轍からは新たな『始まり』を感じました。 ラストが劇場版との対比になっているようで、綺麗に締め括られましたね。
仮面ライダー剣』と出会えて、本当によかった。

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